『君の成長のためだから』
そういって管轄外の仕事を依頼してくる上司。
みなさんもご経験があるのではないでしょうか?
今回はこの一言が、部下や後輩のモチベーションを著しく下げてしまうという話をしたいと思います。
『君の成長のためだから』は『今の君はスキル不足』という意味
君にはこの分野の仕事も担当できるようになってほしい。
そういった前向きな意味を込めて『君の成長のためだから』という言葉をつかってしまいがちです。
しかし、言われたほうはどうでしょうか?
『今の君はスキル不足だよ』と言われているように感じてしまうのではないでしょうか。
それも、別分野の仕事もできるよという人にとっては、管轄外の仕事もデキるという尊厳を傷つけられる言葉でしょう。
頑張っている人のモチベーションを奪ってしまう
せっかくやる気を出して管轄外の仕事も勉強していたのに、その尊厳を傷つけられては、次からは主体的な努力をしなくなってしまうでしょう。
つまり指示待ち人間になってしまうわけです。
こういった管理職の方や先輩などの『何気ない一言』が、その職場全体のモチベーション低下を招いてしまうことは、よくあることなのです。
『君ならできると思ってる』『君にしかお願いできないことなんだ』
では未経験の仕事や管轄外の仕事を頼むときには、どのような言葉が適切でしょうか?
考え方としては、自分の子供に伝えるならどのような伝え方をするか?という視点が大切です。
例えば部屋を片付けない子供に
『今までやったことないと思うけど部屋を片付けてくれるかな?君の成長のためだよ』という伝え方は適切でしょうか?
おそらく多くの子供は親に反発して部屋を片付けることはしないでしょう。
あるいは今回は片付けても、次回はまた部屋を荒らしてしまうものです。
尊重されない言い方では反発されてしまう
大事なことは、相手の尊厳を尊重した伝え方をすること。
つまり、相手が特別であるということを伝えることが大切です。
『この案件、○○さんならできると思ってお願いしたいんだけど、どうかな?』
『あの件、○○さんにしかお願いできないんだけど、いいかな?』
こういったちょっとした言葉の使い方で、職場の生産性は大きく変わるものなのです。
これは私の失敗談
ここまで話してきたことは、私自身の失敗談でした。
初めて部下を持った時、私は部下のモチベーションを上げようと『君の成長のためだから』を多用していました。
『これやってよ、君の成長のためだからさ。成長したいでしょ?』
『これ今日中ね、できたらすごい成長でしょ?たのんだよ』
当時は本当にこんな感じでふるまってしまっていました。
初めての管理職でいっぱいいっぱいになってしまっていて、関わる人の気持ちを考えられていなかったことも原因だと思います。
どこか偉ぶって『君の成長のためだよ』を連呼してしまっていた
そんなある日、私の上司は私の管轄外の新人を連れてきて、教育するように言ってきました。
『ハシモトくん、この子たちお願いね。いろんな子見たほうが君の成長になるでしょ?笑』
上司は含みのある苦笑いで、私にそう言ったのです。
そこで初めて、『君の成長のため』という言葉が人を傷つけるものだと知りました。
上司は、私の普段のふるまいの醜悪さを教えてくれたのです。
それから部下との信頼関係を築くのには2年以上がかかりました。
今では『ハシモトさんは成長させたがりだから笑』と冗談を飛ばしてくれるところまでは回復できています。
上下の関係は誰も教えてくれないし失敗しやすい
職場でみられるような上下の関係は、学校でも家庭でも、どこでも学ぶことなく社会に出ていきなり触れるものですよね。
それゆえに失敗から学ぶしかなく、失敗していても改善できていない人は多くいます。
今回は私の失敗から何かを感じ取って、みなさんの明日の職場での人間関係に活かしていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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