機材
カメラ本体
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かつてのフラグシップ機 D3s
Nikon D3s。かつてプロ向けにニコンが総力を上げて作り上げたこのカメラが発売されたのは2007年。15年以上も前のことだ。そして現在。あれほど猛威を振るっていた一眼レフの時代は幕を閉じ、ミラーの代わりにEVFを搭載したミラーレスの時代がやってきた。
堅牢性と耐久性に優れたプロ機だからこそ
そんな時代だからこそ、この名機が5万円で手に入ってしまう。かつて一流のプロだけが使うことを許された機材に、今や入門機よりも手軽に触れることができるのだ。皆さんも触れてみてほしい。ひんやりとしたマグネシウムボディからは、プロユースのための堅牢さを感じる。バシャッッッと馬鹿みたいに響くシャッター音。吐き出される質感高い写真たち。15年の時を経てなお、感動を与えてくれる一台だ。
得られるのは極上の撮影体験
残念ながら15年という歳月は残酷にも過去を置き去りにした。当時最高性能だったD3sのAF性能も、高感度性能も、連射速度も画像処理エンジンも、何もかもが時代遅れだ。撮影性能と吐き出す絵に関しては、D3sが現代機に見劣りする時代になった。
しかし、このカメラの本質は、もはやここにはない。スクエアの重たいボディに触れると、金属のひんやりした感触が伝わってくる。オートフォーカスを合わせる、昔のニコンの優しい電子音が響く。そしてシャッター。すべてを断ち切るような鋭い動作音が響き渡る。手には少しの振動。堅牢なボディと内部構造が、ほとんどのショックを受け止めてしまうのだ。
なんと素晴らしいフィーリングだろう。ここまで写真を撮ることに心躍る経験は、今後何度できるのだろうか。D3sはその存在自体が、感動を与えるカメラなのだ。
使える高感度、解像感
プロユース用のフラグシップ機だからこその恩恵は大きい。ボディのいたるところに物理ボタンが配置され、設定変更がワンタッチで可能なのだ。特にAF-S/CやAFエリア、測光点の切り替えボタンの場所が良い。
そして、出てくる絵に関してもいかがだろうか。私は1ピクセル1ピクセルの発色の仕方が、良いカメラで撮った時のそれに感じる。生で見るよりリアルな質感。そしてそれがISO6400ほどまでは潰れずに再現されているのではないだろうか。
滅びゆくFマウントをどう捉えるか
Nikon D3s。その名機が5万円で買えるとなれば、私は誰しもにおすすめしたい気持ちではある。一方で、D3sはFマウントのカメラなのだ。ニコンのミラーレスシリーズはZマウントとなり、これからレンズ資産を築くにあたって、先のないFマウントに投資していいものかとも思う。
Fマウントの名レンズも、近頃はZマウントでより性能を高めて発売されていると聞く。私はかつてのFマウント時代に思い出補正があるのでD3sの購入にためらいはなかったが、特に思い入れのない方はレンズ資産のこともしっかり考えて、D3sを検討いただければと思う。